・先日の大会での話。
上位者(以下甲とする)が下位者(以下乙とする)と対局中(2枚落ち)に、乙が五段目の銀を裏返った。すると甲が即座に「反則だ」と主張。「これはどうするの?」とのことなので「結果はともかく続行してください」ということで続行してもらう。今度は乙が必勝になり甲の持ち時間が切れた。冗談を交えて「引き分けですね」と言ったら「引き分けはあり得ない。さっきの反則の時点で決着はついている」と若干キレ気味になったので「いや、結果はさっきのでついてます」となだめているうちに乙が「いいんだ、俺の負けなんだ」と言ってくれてようやく落ち着いた。
はっきり言えば、反則の時点で終了にせず続行を指示した自分の過失だとは思うが、半分遊びのような大会で上位者がそこまで目くじらを立てなくてもと思ってしまった。
乙が反則をした時点では形勢は2枚落ちとしては互角に近く、そこで終わらせるのはもったいない感じだったし、乙は勝敗に対するこだわりがほとんどなく、将棋が指せればいいというタイプなので、乙に贔屓目に見た部分はあったと思う。だから、裁定自体が間違っていたと言われればその通りなのだとは思うが、くどいようだが上位者がそこまで目くじらを立てなくても。という思いがどうしても消えない。いろいろと考えさせられた出来事だった。
なお、乙は対局中に話はするし、時折駒を強くたたきつけるようなしぐさがあったりするが、この時はそういったしぐさは一切なかった。また、とにかく将棋が好きなのは伝わってくる人物ではある。
全道大会や全国大会を目指して大会に出場するタイプの選手とは全く異質なので、乙のような選手に対してどう思うかは結構見解が分かれると思う。多分全道大会や全国大会を目指して日々研鑽しているような選手の中には乙のような選手を受けれ難い方もいるんじゃないかなと思うが、「将棋を楽しむ」とか「将棋が好き」という概念の違いだけなんじゃ?というのが今の自分の見解である。