・王将戦の話の途中でちょっと技術的な話。
先手ノーマル三間飛車に対して後手が急戦を目指したのが準々決勝の将棋。先手の構えは初めて見るが非常に優秀と思った。当然のことながら後手から仕掛けてうまくいくか?が焦点となる。
実戦は△75歩、▲同歩、△96歩、▲同歩、△86歩、▲同歩、△96香、▲同香、△76歩、▲59角、△65桂と仕掛けたら▲85香で飛車が死んでしまったのは以前書いた通り。△65桂のところ△65歩がまだしもだがいずれにせようまくいってないと思う。
そこで感想戦で筆者が示した仕掛けが△75歩、▲同歩、△96歩、▲同歩、△65歩、▲同歩、△77角成、▲同桂、△96香、▲同香、△99角という変化(第2図)
△76歩がダメなら△86歩だが▲95角、△87歩成、▲84角、△78と、▲74歩は完全な1手負けコース。どうもこの仕掛けはダメっぽい。
対局中もずっとその筋を気にしていたのだがこの形は先手から▲35歩という手がいつでもあるので後手が相当勝てない気がする。
戻って第1図自体が先手最善形に近いのでこの形で仕掛けを考えてもダメだと思う。大会中にそれに気付けなかったのが情けなかった。
というわけで先手にもう1手指していただくために第1図では△42金上としてみる。この時に先手が▲37桂なのか▲27玉なのかわからないけど▲37桂なら△42金上との交換は部分的にはべらぼうに得。▲35歩の筋がものすごく緩和されている。現代将棋において美濃囲いの桂馬を跳ねるのは当然のようになりがちだが大山名人の将棋では「守りが薄くなる」との理由で跳ねないことも多かったとか。
それはともかくとして△42金上と▲37桂の交換を入れてから仕掛けてみたい。
▲55同歩なら△65桂なのでまずは▲55同角から考えてみたい。
以下△55同角、▲同歩、△79角、▲78飛、△57角成、▲同金、△86歩(第4図)
ということで第3図から▲68飛と回ってみるとどうなるのか?
第3図から▲68飛、△54銀、▲66銀、△86歩、▲同歩、△96香、▲同香、△76歩、▲88角と進んだのが第5図。
以下△86飛と走って後手も一応主張が通っている気がするがたくさん歩を突き捨てているし▲55歩と指されたときに形勢がどんなものなのか?
居飛車も指せるとしたいところだが振り飛車党には先手優勢と言われそうな気がしないでもない・・・
▲55歩に△96飛、▲54歩、△98飛成or△85桂はさすがに駒損が大きいか?であれば△63銀と我慢するのか?・・・
いずれにせよ変化が広すぎて筆者の棋力では読み切れないが第1図からは△42金上としたほうが良さそうだというのが今日の結論。その時の先手の指し手が▲37桂か▲27玉か?つたない棋力では所詮は机上の空論。今回のように強豪との実戦を通して進化させていきたい。